借金整理については弁護士だけではなくて司法書士も積極的に行っていますね。

このページでは、任意整理を司法書士に依頼しようと思っている人に知っておいてほしい知識についてお伝えいたします。

司法書士がなぜ任意整理ができるか

まず司法書士がなぜ任意整理ができるかについてお伝えします。この後にお伝えする職務の制限についてと密接に関連しているので是非しっておいていただきたいのですが、読み飛ばしていただいてもかまいません。

債務整理は基本的には弁護士のみができる

裁判所に書類を提出する事の代理や、契約を代理してやることは「法律事務」にあたるため、弁護士法72条によると弁護士しか代理ができません。

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条  弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。

司法書士には例外規定がある

さきほどの弁護士法ですが、「ただし書き」という続きがあります。

ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

つまり、法律がやっていいよと書いている場合には法律事務の取り扱いができるのです。

そして司法書士法3条1項7号が次のように定めています

(業務)
第三条  司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
七  民事に関する紛争(簡易裁判所における民事訴訟法 の規定による訴訟手続の対象となるものに限る。)であつて紛争の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号 に定める額を超えないものについて、相談に応じ、又は仲裁事件の手続若しくは裁判外の和解について代理すること。

裁判所法33条1項1号に定める額とは140万円を超えない請求とされているので、司法書士は140万円以内の金額の紛争については、任意整理ができるという風に定められているのです。

司法書士が債務整理でできる事には制限がある

以上の通り、司法書士も例外として債務整理ができる場合が出てくるのですが、そちらには制限があるという事になります。

任意整理について

140万円以上のものについては扱えません。

ここでいう140万円は1社につきという理解でよいので、総額が300万円でも1社が140万円以下であれば司法書士は扱えます。

過払い金請求について

利息制限法による引き直し計算をした結果過払い金が生じている場合には、払いすぎた利息を返してくれということができるのですが、その額が140万円を超えると司法書士は「代理」ができません。

しかし、司法書士は、裁判所に提出する書類の作成を代行することが先ほど述べた3条の別のところに書かれています。

そこで依頼者には、①裁判所に提出する書類の作成を代行してもらうことだけを依頼して、裁判所には自分で行く事を選ぶ、②過払い金が140万円を超えることが判明した時点で弁護士に依頼替えをする、という選択が必要になります。

自己破産

自己破産手続きの利用をするにあたって司法書士は裁判所に提出する書類の作成の代行だけをやってくれます。

ですので、免責審尋や債権者集会という裁判所に呼ばれる手続きや、少額管財になる場合の管財人との面接にあたっては同席をしてくれません。

個人再生

個人再生手続きの利用をするにあたって司法書士は裁判所に提出する書類の作成の代行だけをやってくれます。

こちらも裁判所に出頭する手続きには同席してくれたりしませんので注意が必要です。

時効援用

借金が時効を迎えているような場合には、時効の援用ができます。こちらは弁護士・司法書士ともにできますし、行政書士も実は内容証明業務として業務範囲内です。

相続放棄

借金を相続したくないときには相続放棄手続きを利用することができます。こちらは裁判所に対する書類の作成がメインの業務になるので、弁護士・司法書士ともにできる業務になります。

債務整理を司法書士に依頼するメリット・デメリット

では、ここまで債務整理は司法書士は制限されているという事をお伝えしていましたが、メリットはあるのでしょうか?

債務整理を司法書士に依頼するメリット

費用が安い傾向にある

債務整理を司法書士に依頼するメリットとしては、費用が安い傾向にあることです。

特に自己破産や個人再生は、裁判所での期日や管財人との面接などでは、変な事を言わなければ普通に終わる手続きだといわれています。

そんな手続きなんだったら付き添いなんかいらないか…とおっしゃる方にとっては、安い司法書士を選ぶメリットはあるでしょう。

債務整理を司法書士に依頼するデメリット

メリットがある裏側にはデメリットも当然に存在しますので一応お伝えしておきます。

付き添いがないと不安な人にはお勧めできない

裁判所や管財人の面接で何と答えてよいかわからず不安だという方にとっては司法書士への依頼で不安が増すばかりなので、依頼しないほうがよいでしょう

任意整理で司法書士はどうなのか

自己破産や個人再生の話ばかりしているが任意整理ではどうなのかというと、正直あまり変わりません。

ただ、前述したとおり過払い金が140万円を超える場合には権限がなくなってしまいますので、借り入れ期間が長い場合には弁護士に依頼したほうが無難かもしれません。

司法書士よりも弁護士に依頼したほうがいいかもしれない人

任意整理を含む債務整理で司法書士よりも弁護士に依頼したほうがいい場合は次の通りです。

債務整理中に離婚をしてしまいそうな人

借金がパートナーに発覚してしまい、今離婚協議に入っているような方については、弁護士に依頼をしておいたほうがよいでしょう。

たとえば離婚調停等になった場合にそのままその弁護士さんに離婚案件も依頼してもらえれば、今の自分の経済状態をしっかり伝えられるからです。司法書士には調停に出廷する権限はありません。

相続でもめている

借金はあるものの、相続をしているのだが、今相続財産をどのようにするか揉めている最中だというような場合です。

この場合も遺産分割協議などがからまってきて、任意整理の場合は直接関係しないのですが、自己破産・個人再生になるような場合は相続財産がどうなるかは申立書類に直接かかわってくるのです。

その他の問題でもめている

このサイトの管理人の経験では、以下のようなものがありました。

Aさんは運送業を住み込みで業務委託でB社と契約をしています。以前B社と取引している相手方との預り金を持ち出したことがあり、それが原因でB社は相手方との契約を解除されたため大変な損害を被っていましたが、人手不足になやんでいたB社ではAさんに誓約書を書かせることで引き続き業務委託契約を結んでいました。

Aさんは月末〆の翌々月払いで契約をしていましたが、翌月払いの時は20%引き、借金に悩んでいたAさんはB社にお願いをしてもっと早い支払いをお願いして、〆た翌日で30%引きで契約をしていました。

Aさんは30%引かれているのを「出資法違反」だとして、30%引かれていた分を請求しようと、私が勤務していた司法書士事務所に相談をしに来たのです。

司法書士は契約を打ち切って、30%を返せという主張をしましたが、冒頭にもお伝えさせていただいている通り、B社から住居を提供されていたAさんはB社から退去を要求されます。ほどなくB社の弁護士から弁護士法違反を指摘され、司法書士はAさんとの契約を解除、Aさんは以前に与えた損害を一括で請求される事態に陥ってしまいました。

経験の浅い司法書士だったので、そもそも出資法がでてくる場面ではないことや、背後に控えている住居の問題、免除してもらった損害賠償の問題などを見過ごしてしまったのです。

まとめ

債務整理においては弁護士も司法書士も活躍していますが、消費者金融から借りていて苦しいだけという単純な事例においてのみ司法書士にも依頼することが価格面からは望ましいというのがこのサイトの見解になります。

天音法律事務所
弁護士:人見 勝行


ふづき法律事務所
弁護士:山下重幸


弁護士法人サルート法律事務所


クレアティオ法律事務所
弁護士多田浩章


アヴァンス法務事務所
※司法書士


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