Q:

私は63歳、定年は65です。大手に勤めているので、退職金があります。

任意整理をすると退職金に影響があるのかが不安です。

その他の債務整理手続きをした場合と一緒に教えてくれませんか?

A:

任意整理をしても退職金には影響しません。

個人再生や自己破産をする場合には退職金が影響するので注意が必要です。

任意整理では退職金に影響しないということをまず覚える

債務整理手続きの中でも、裁判所を利用して財産関係の清算をする自己破産・個人再生と違い、貸金業者と自由な和解案を組む任意整理手続きでは、基本的には退職金に影響はしない…という結論をまず押さえてください。

つまり、任意整理手続きをしたか退職金が減らされる、退職金が差押をうける、などといったことはないということです。

ただし、退職金の存在を利用して任意整理の展開をすることも可能

退職金がある状況で任意整理をする…という状況をすこし詳しく紐解いてみましょう。

場合によっては、退職金を利用することによって、交渉を有利にすることも可能なのです。

定年間近の人の任意整理、債権者の思考

任意整理は3年~5年(36回~60回)の分割で支払っていく手続きです。

手続き開始当初は給料もあるから払えるのですが、たとえば冒頭の相談者様のように、63歳という年齢で5年の分割払いをするとなると、5年の間に正社員から嘱託社員に落ちることによる給料が減る分が出たり、再雇用がなければどこから支払うのか?という問題がでてきます。

そのため、債権者としてもこのような場合に長期間の分割和解に応じないという可能性が出てくるのです。

うまくいかない場合には退職金の存在を伝える

上記のような理由で任意整理の交渉がうまくいかなくなった場合に利用したいのが、退職金の存在です。

ローン会社・カード会社などの債権者としては、支払いを受けられさえすれば、その出どころは給料でも退職金でも身内からの援助でも良いのです。

もし、年齢と将来の支払いの元手について指摘されて交渉がうまくいかない場合には、弁護士・司法書士と相談をして、退職金の利用を検討してみるのも一つの手です。

任意整理ができない場合の退職金の扱い

任意整理ができない場合には、自己破産・個人再生という手続きの利用をすることになります。

退職金は退職するまで、そもそも退職金があるのかどうかという事、その額は確定していないのが通常です。

たとえば退職理由が懲戒解雇によるような場合には、そもそも退職金が出ない事だってありますし、自己都合退職と定年退職とでは計算式が違う結果その額も大きく異なることになります。

しかし、破産手続や個人再生手続きにおいては、資産としてみられてしまうので要注意です。

自己破産の場合

まだ支払い時期がきていない退職金については、1/4が差押られるという風に法律で決まっています(破産法)。

もちろんこのような差押は会社に届いてしまうので、雇用問題になりかねない事から、実務上の運用では、この1/4相当額の現金を用意することによって、差し押さえを免れることになります。

自己破産手続きでは、会社に勤務している人は退職金規定を提出する必要があります。ここで隠すことはできないので注意が必要です。

個人再生の場合

個人再生の場合は、支払いをしなければならない最低の金額というものがあるのですが、財産の残っている額と法律で定まった額のどちらか高い方を支払わなければなりません。

この残った財産額の計算に退職金の計算が組み込まれることになっています。

まとめ

退職金は老後の生活の安定のために必要な資産ですが、借金をしている場合にはそれに充てることも考えざるを得ません。

任意整理には基本的に影響はありませんが、和解交渉で有利に働く事情にはなりえます。

年齢・退職金の有無・支払い能力など、総合的な判断で適正な手続きと交渉方法は異なってきます。

自分のケースではどのようにすれば良いのか?という事はぜひ任意整理のスペシャリストである弁護士・司法書士に聞いてみることにしていただくのが良いでしょう。