債務整理の方法として「個人再生」という方法があります。

借金を圧縮してくれる上に分割で支払いができて、住宅ローンがあっても使える手続きという表現がされることがあるのですが、実際にはどのような手続きなのでしょうか。

このページでは個人再生について詳しくお伝えします。

個人再生とは

それではまず、「個人再生」とはどのようなものか見てみましょう。

個人再生の概要

個人再生を大雑把にどのようなものかとお伝えしますと、借金を1/5程度に圧縮して分割して支払えばよいように裁判所が決定することで、借金の返済を楽にする債務整理の方法です。

住宅ローンがあるような場合や、破産手続きが利用できないような場合で、任意整理が難しい場合にはこの手続きを利用することが第一選択肢になります。

法律上の規定はなく、民事再生法を個人が利用して行う手続きのことを個人再生と呼んでいます。

手続きの根拠になる法律は民事再生法

上述しましたが、手続きが認められる根拠になるのは、民事再生法という法律です。

民事再生法は平成11年(2000年)に施行された、倒産法の中では比較的新しい法律です。

民事再生法ができる前は大正11年に出来た和議法という法律で同様の手続きを規定していました。

しかし和議法は手続きが厳格であるにもかかわらず、その内容が履行されないことが多く「和議は詐欺」といわれるようなもので、使われることがあまりなかったのです。

そこで、アメリカ連邦倒産法第11章(チャプターイレブン)を参考に企業の再生をするために作られたのが民事再生法です。

この民事再生法を個人の経済的再生にも使えるようにした規定があり、その規定を使って借金からの解放を目指すのが「個人再生」なのです。

個人再生が規定された趣旨を知ろう

本来ならば借金をすれば返さなければいけませんし、債務を負担することになったら履行をしなければなりません。

しかし、個人再生が認められると、総債務額が大幅に減ることになり、債務者だけが一方的に負担が減ります。

なぜこのような制度が規定されているのでしょうか。

その理由を書いた条文として、民事再生法1条が、この法律を書いた趣旨を規定しています。

条文は次の通りとなっています。

(目的)
第一条

この法律は、経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする。

長くてわかりづらいのですこし分解します。

目的は次の2つになります。
当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整
債務者の事業又は経済生活の再生を図る

それぞれ少し詳しく見てみましょう。

当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整

目的の一つは、「債権者の民事上の債権関係を適切に調整」とあります。

これは、債務者が借金などの債務の支払いができなくなっているような状況におかれると、債権者は債務者の残り少ない財産を目的として、我先に取り立てを行うことになります。

そうなると、債権者が力づくで自分の債権をなんとかしようとして、債務者や他の債権者と争うことによって秩序を乱すようなことになりかねません。

民事上の原則として、債権者は平等に取り扱われることになっている、という秩序を維持することが一つになります。

債務者の事業又は経済生活の再生を図る

本来は債務を負えば履行をするのが筋ですし、借金をすれば返済をするのが筋です。

とはいえ日本は資本主義経済ですので、経済的に破綻することはやむを得ないという状態ではあるのです。

経済的に破綻したからといって、その債務が一生消えないような状態になると、自殺をしたり犯罪に手を染めたりといった事態につながりかねません。

そのため経済的再生の道を残しておくべきなので、このような個人再生という手続きや自己破産という手続きを認めておく必要があるのです。

債務整理・自己破産・任意整理と個人再生の関係

では個人再生は自己破産・任意整理・債務整理というものとどのような関係にあるのでしょうか。

債務整理は借金をなんとかする手続きの総称で個人再生は債務整理の1つの方法

まず、「債務整理」という言葉と個人再生というものの関係はどのようになっているのでしょうか。

債務整理というのは、借金返済に困った個人が借金苦から自由になるための手続きの総称をいいます。

個別の自己破産・任意整理・過払い金請求といった手続きをまとめたもので、弁護士などの法曹関係の人が借金問題に関する個人法務の名称として使われます。

法曹関係の方の中にはクレジットとサラ金の略称である「クレサラ」「クレサラ問題」という言い方をすることもあります(この言い方をするときは多くは借金に関する手続きの蔑称として使われることが多いようです)。

個人再生はこの債務整理の方法の一つです。

自己破産と個人再生

自己破産と個人再生は、ともに債務整理の方法の一つで、両方の手続きとも裁判所への申立をする手続きということでは一致しているものです。

自己破産は破産法という法律に基づく手続きで、個人再生と同じく裁判所への申立をして、裁判所が許可するという共通点があり、債務整理に属する手続きの一つです。

この2つの手続きの違いは、自己破産は原則として財産を清算して債務を免責(=借金を払わなくてよい)とするものであるのに対し、個人再生は圧縮されるとしても借金を支払っていく形のものになります。

手続きの区分でいうと、自己破産は清算型・個人再生は再建型という呼び方で分けられています。

任意整理と個人再生

任意整理と個人再生は、手続きをした後に支払いを継続する点で共通しており、両手続きとも再建型に分類されております。

しかし任意整理は以下の3点で個人再生と異なります。

まず1点目は、任意整理は個人再生のように裁判所を利用する手続きではなく、個別に債権者と支払いについての合意をする手続きでです。

次に、任意整理は借金額は基本的に減額されず、多くの和解のケースでは元本の支払いが必要とされる点で異なります。

手続きの選択

これらの手続きはどのようにして選択されるのでしょうか。

手続きの選択は、基本的には弁護士・司法書士に依頼をする段階で決めることがほとんどです。

決めるポイントとしては、総債務額の支払いが可能なのかどうなのか、という点で、任意整理を利用するのか自己破産・個人再生を利用するのかという分け方をします。

例えば借金額が100万円で、月々の支払い可能額が10万円である場合には、頑張れば支払える場合ですので、支払い不能になっているという評価はできません。

このような場合には、自己破産・個人再生は利用できないので、任意整理を利用することになります。

支払い不能かどうかは、総債務額36回(3年)の分割ができるかどうかで検討をするのがほとんどです。

というのも、任意整理として支払い続けることを認めてくれるのは36回(3年)が限度で、長くても60回(5年)を超えるような分割は多くの銀行・消費者金融などの貸金業者は認めてくれません。

そのため、36回で支払える債務額以上になっているような場合には、自己破産・個人再生を検討することになります。

総債務額が36回分割では支払えない状態で支払い不能といえるような場合には、法的手続きを利用することを検討することになります。

ほとんどのケースでは自己破産を選択するのですが、後述しますが自宅がある場合で住宅ローンの支払いをしているような場合や、破産手続きの利用ができない事情があるような場合には個人再生を使う、という流れになります。

個人再生のメリット

では、個人再生手続きを利用することでどのようなメリットがあるのかを見てみましょう。

個人再生のメリット1:弁護士・司法書士に依頼をすると督促がとまる

これは任意整理・自己破産・個人再生など債務整理手続きを利用した際のすべての手続きに言えることなのですが、個人再生の利用をすると、督促を弁護士・司法書士が受けてくれることになり、本人にできなくなります。

貸金業者や信販会社は弁護士・司法書士が債務整理の依頼をうけると、本人に督促をしてはならないようになっています。

借金の支払いができなくなってくると、電話・書面で督促が相次ぐようになるので、この督促が止まることで心理的な負担が減るという大きなメリットがあります。

個人再生のメリット2:返済は一時ストップする

弁護士・司法書士に依頼をすると、督促が止まると同時に、銀行・消費者金融などの貸金業者や、信販会社の分割弁済などの返済を止めることができます。

これは個人再生の申立をするにあたっては債務額がいくらなのかを確定する必要があります。

支払いを続けると、債務額がいつになっても確定しないことから、返済を一時止めるということになっています。

このような手続き上の制約なのですが、事実上は借り入れと返済を中心に回っている生活を見直すことができるようになるというメリットがあります。

個人再生のメリット3:住宅ローンがある場合でも利用できる

債務整理手続きの利用にあたって最大のメリットといえるのが、住宅ローンがある場合で、住宅にそのまま住みたいという希望がある場合に、利用しやすくなっています。

自己破産手続きはすべての債務者からの免責を目指すものになり、当然に住宅ローンもその対象になります。

住宅ローンの債務は購入した住宅に抵当権という担保をつけて貸付をしていますので、債務整理をすると債権者は抵当権にもとづいて住宅を競売にかけて、回収をすることができるようになっています。

そのため、自己破産をすると住宅ローンを利用して手に入れた住宅は手放さなければなりません。

個人再生手続きでは、住宅ローン条項というものを利用すると、住宅ローン債権者は除いて手続きをすることができるという特徴があります。

そのため、任意整理では支払うことが難しいという場合には、個人再生手続きを利用するメリットがあります。

個人再生のメリット4:債務額が圧縮

任意整理は債権者と個別に話合いをして借金の支払いを軽くしてもらう手続きなのですが、金融実務ではすでに元本額を36回~60回の分割にするという風な形で運用が固定されています。

そのため、支払いを継続することを決めた場合でも、任意整理の手続きでは支払えない場合が出てきます。

個人再生を利用すると債務額を約1/5程度に減額をしての36回分割になるので、支払いを継続することを選択した場合にはかなり楽になるといえるでしょう。

個人再生のメリット5:自己破産のような制限をうけない

自己破産手続きを利用すると、職業制限・住居の制限・郵送物の管理などの措置を受けます。

職業については、警備員や宅建業など、他人の財産を預かるような資格については、「破産者」はなることができないという法律がありますので、このような職業についている人は自己破産をチョイスできません。

任意整理で支払える金額の借金ではない場合には個人再生手続きの利用をすることで経済的な再生ができるようになります。

個人再生のデメリット

もちろん個人再生手続きを利用するとデメリットも発生します。

個人再生のデメリット1:信用情報

最初のデメリットですが、自己破産・任意整理など債務整理全般に言えることなのですが、信用情報に登録されます。

信用情報というのは、貸金業者や信販会社が契約をするにあたって、返済ができる人なのかということを調べるにあたって、債務額や事故情報に関する情報をいいます。

個人が銀行・消費者金融・信販会社に借り入れやカード作成をすると、その情報が登録されることになっており、契約にあたって返済ができるかどうかの判断に使われます。

支払いができなかったり、債務整理をしたような場合には、事故情報や異動情報という形で信用情報に登録をされることになります。

この状態を一般にはブラックリストと呼んでいるのですが、信用情報に事故情報が登録された人がリストになっているわけではありません。

このブラックリストの状態になっていると、貸金業者・信販会社は契約をしません。

そのため新たな借入・カードの作成ができなくなり、カードについては次の更新時に使えなくなるようです。

この借り入れには住宅ローンや自動車ローンもETCカードなどの利用にあたって制約を受けることになります。

この状態が任意整理では5年程度なのですが、個人再生では7年と長くなっています。

個人再生のデメリット2:1/5は支払わなければならない

次に、自己破産と比べてのデメリットなのですが、債務額が大幅に圧縮されるとはいえ、1/5程度の支払いは残ります。

そう考えると、完全な免責がされるわけではないという事は、自己破産と比べるとデメリットと考えることはできます。

個人再生のデメリット3:官報への掲載

個人再生手続きの開始にあたっては、官報という国の新聞に掲載されることが制度として決められています。

これは債権者に知らせるという観点から決められているものになるので避けられない手続きになります。

そして自己破産手続きでは1回なのですが、個人再生手続きにおいては2回掲載されることになっています。

デメリットに見えるけれども、見方を変えるとデメリットではないかも

以上は一般的にはデメリットとして紹介されることなのですが、代替手段があったり、そもそも考え方を変えませんか?という事をお伝えしています。

たしかに信用情報にのることによってあらたな借り入れができません。

そのためカードの利用ができなくなりますが、VIZAデビットやプリペイドのETCカードなど、代用することができるものはいくらでもあります。

さらに借り入れができないということは、考え方を変えると、借り入れをしないで生活していくことを余儀なくされるので、借り入れに依存しない生活をしていくことができるようになります。

官報掲載に関しては、はっきりいってみている人はいません。

デメリットと言われることもありますが、事実上生活をしていくのに不便になることはあっても大きな支障をきたすようなことはありません。

個人再生を取り扱う専門家は弁護士と(認定)司法書士

個人再生手続きの利用を考えた場合にはどこに相談をしにいけば良いでしょうか。

手続きとしては弁護士法72条に規定する法律事務になるので、弁護士に相談をするのが基本です。

弁護士法の例外として認定司法書士をいわれる司法書士になった上で法務省の試験をうけて合格した人も手続きの依頼を受けることができるようになっています。

その他の国家資格を持っている人は有料で手続き相談を受けたり、手続きの代行をすることはできません。

市区町村の相談をしても最終的には弁護士や司法書士に依頼をすることになります。

NPOなどの任意団体で相談に乗っているところもあるのですが、弁護士・司法書士に依頼を紹介することになり、稀に資格をもっていない人や懲戒されている人を紹介されるようなことがあるので、素直に広告が出ている事務所に相談するのが良いでしょう。

債務整理は、個人の法律関係を取り扱う個人法務という分野を取り扱う弁護士・司法書士に依頼するのがよいでしょう。

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